イラストとアイコン、どっち使う?図解デザイナーが考える使い分け

イラストとアイコン、どっち使う?図解デザイナーが考える使い分け

図解を作るときに、意外と迷うのが「イラストを使うべきか?」「アイコンを使うべきか?」という選択です。

どちらも便利なビジュアル表現ですが、使い方を間違えると“伝わりやすさ”が大きく変わってしまいます。

この記事では、図解デザイナーとして日々図解を作り続けている僕が、イラストとアイコンの使い分け方を整理してみました。

目次

選ぶ基準は「抽象度と具体度」

まず考えたいのが、対象の「抽象度・具体度」です。

図解は「情報を整理して伝える」ための手段。つまり、表現したい対象がどれくらい“具体的”なのか、または“抽象的”なのかによって、適した表現手法が変わります。

抽象的ならアイコンを使う

例えば「男女比」や「顧客満足度」など、どんな対象にも当てはまりそうな概念を表すときは、イラストよりもアイコンの方がスッキリと伝わります。

男女比を表すなら、スーツの男性アイコンと女性のシルエットだけで十分。特定の人物を想起させず、全体の傾向を客観的に見せることができます。

アイコンは「誰でも」「どんな対象でも」当てはまりやすく、情報を抽象化して整理したいときに強い味方です。

統計グラフや比較図など、汎用的な内容には特に相性が良いです。

具体的ならイラストを使う

一方で、「女性デザイナー比」「営業担当の働き方」「お客様の声」など、対象がより“リアル”で“具体的”な場合は、イラストを使うことで一気にイメージが湧きやすくなります。

たとえば女性デザイナー比を伝えるなら、パソコンを使う女性のイラストを添えると、読者はすぐに「職業」や「シーン」を思い浮かべられます。

イラストは、情報に「人間らしさ」や「文脈」を加えるのに最適。感情や雰囲気まで伝えられるので、ビジネス資料でも柔らかい印象を出したいときに効果的です。

次に見るべきは「数」

もうひとつ重要な判断軸が、「使う数」です。

同じテーマでも、登場する要素の数によって最適な表現が変わります。

数が多いならアイコン

「○○のための6ステップ」など、複数の項目を並列的に見せる場合は、イラストよりもアイコンが向いています。

理由はシンプルで、アイコンは形や大きさを揃えやすく、構造的に整った印象を与えられるからです。

6人分のイラストを並べるよりも、6個のアイコンを配置した方が圧倒的にスッキリします。

また、アイコンは視覚的ノイズが少ないため、ステップやフローなど「全体の流れ」を見せたい場面で活躍します。

情報量が多い図解こそ、アイコンの統一感が効果を発揮します。

数が少ないならイラスト

逆に「○○に大事な4項目」「成功の3条件」など、項目数が少なく、メッセージ性を持たせたいときはイラストの出番です。

イラストは印象に残りやすく、1枚で文脈を語れる力を持っています。

たとえば「大事な3項目」というテーマに、ノートを持つ人物イラストを添えれば、内容の重要性や真剣さが自然と伝わります。

イラストは“単調になりがちなスライド”に表情を与え、読者の記憶にも残りやすい。

少数のポイントを強調したいときこそ、積極的に取り入れる価値があります。

3. 両者をどう使い分けるか?

実際の図解制作では、「全部イラスト」「全部アイコン」にこだわる必要はありません。むしろ、両者をうまく組み合わせることで、情報と印象のバランスを取ることができます。

たとえば、全体構造をアイコンで整理しつつ、メインメッセージ部分にイラストを入れる。これだけで“わかりやすさ”と“印象深さ”の両立が可能です。

また、アイコンとイラストのテイストを合わせる(線の太さ・色味・トーン)ことで、統一感を損なわずに自然なビジュアルが作れます。

「構造はアイコンで」「感情はイラストで」。これを意識するだけでも、図解全体の完成度がぐっと上がります。

まとめ:アイコン=構造、イラスト=印象

イラストとアイコン、どちらも“伝えるデザイン”には欠かせません。それぞれの特性を簡単にまとめると、次のようになります。

表現方法向いている内容メリット
アイコン抽象的・数が多いときにおすすめ情報を整理しやすく、統一感が出る
イラスト具体的・数が少ないときにおすすめ印象に残りやすく、感情を伝えやすい

どちらか一方に偏らず、「構造で整理したいときはアイコン」「ストーリーで伝えたいときはイラスト」という意識を持つことが、図解上達への近道です。

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