プレゼン資料やWebサイト、サービス比較などでよく使われる「表デザイン」。
情報を整理して伝えるのに便利な一方で、「なんだか見づらい」「どこを見ればいいのか分からない」と感じることも多いのではないでしょうか。
同じ情報でも、表のデザイン次第で“伝わり方”が大きく変わります。
今回は、図解デザイナーの視点から、伝わる表デザインのコツを6つのパターンに分けて紹介します。
① 行を色で強調する

「どの項目がどの行に対応しているか」をわかりやすくするには、行単位で背景色をつけるのが効果的です。
たとえば料金表で「おすすめプラン」だけ背景色を変えると、視線が自然とその行に集まります。
このときのポイントは、塗りつぶしすぎないこと。背景をベタ塗りにすると他の情報が沈んでしまうため、淡いトーンやアクセントカラーを部分的に使うのが◎。
図解やスライドでは、1行ごとの強調があるだけで「視線誘導」と「情報整理」が同時に叶います。
② 列を色で強調する

比較表などでは、行ではなく列方向に色をつけると、企業やサービスごとの違いを直感的に伝えられます。
たとえば「企業A」「企業B」の2列を比較する場合、それぞれの列を薄く囲うだけで、「A社はここ、B社はここ」という視線の軌道をつくれます。
特におすすめなのは、数値のハイライトを色で統一すること。
平均より高い・低いなどの傾向が、色の統一によってひと目でわかるようになります。
③ おすすめを色で強調する

料金プランやサービス表では、ユーザーに選んでほしいプランを明確にすることが大切です。
そのときに効果的なのが「おすすめプランの色強調」。
他の列と比べて背景色を強めたり、カードの色を変えたりすることで、選ぶべき選択肢を“迷わせない”デザインにできます。
ただし注意点として、周囲との明度差をしっかり取ること。他の要素との差が小さいと、せっかくの強調が埋もれてしまいます。
④ おすすめを大きさで強調する

色ではなくサイズで注目を集めるのも、デザインの定番テクニックです。
たとえば「おすすめプラン」だけボックスを少し大きくしたり、外枠を太くしたりすることで、自然と視線がそこに向かいます。
人の目は「差」に反応するため、ほんの少しの大きさの違いでも効果的。
強調色を使いすぎるとチカチカしてしまう場合は、サイズの差で視覚的リズムをつくるのがおすすめです。
⑤ ○△×で直感的に伝える

比較表では、「どちらが優れているか」「どちらが得か」を記号でパッと伝える方法も有効です。
たとえば「操作性◎」「コスト△」「サポート×」といった具合に、○△×を使えば一瞬で理解できます。
この手法のメリットは、言葉を減らしても意味が伝わること。
テキストが多くなりがちな表に、アイコン的な記号を取り入れるだけで、情報が“見える化”されます。
ただし、色覚への配慮も忘れずに。
○=緑、×=赤といった色分けは一般的ですが、形の違い(丸・バツ)を同時に使えば誰にでも伝わる設計になります。
⑥ チェック形式で可視化する

「どんな機能があるか」「どのプランに含まれているか」などを伝えるなら、チェックマーク形式が効果的です。
テキストを並べるよりも、「有無」が一目でわかるからです。チェックの形にも意味があります。
✔︎ は“完了・安心感”を、☑︎ は“選択・対応”を表します。
目的に合わせてアイコンの形を選ぶと、より印象的なデザインになります。
また、チェックの配置をそろえると、見た目の整列感が生まれ、全体がすっきり。視線の流れを妨げない表づくりにつながります。
デザインの目的は「比較」ではなく「伝達」
表は“比較するためのもの”と思われがちですが、実際は「伝えるためのもの」。
情報をただ並べるだけではなく、どこを見てほしいか・どんな行動を促したいかを明確にすると、デザインの方向性が定まります。
例えば
- 比較してもらいたい → 列で強調
- 推奨プランを伝えたい → 色・サイズで強調
- 項目ごとの違いを明確にしたい → 記号やチェックで整理
このように、「目的」と「構造」が一致しているかを意識すると、表デザインの完成度が一気に上がります。
見やすい表に共通する3つのポイント
- 線の多用を避ける
罫線が多すぎると情報が分断され、読みにくくなります。背景色や余白で区切る方が自然です。 - 文字サイズと余白に差をつける
見出しは大きく、本文は少し小さく。行間・列間の余白をしっかり取ると、視線の移動がスムーズになります。 - 意味のある強調だけにする
色や太線を“装飾”として使うのではなく、意味を伝えるための強調に限定する。
そうするとデザインがブレず、全体がすっきりまとまります。
まとめ|伝わる表デザインは「整理+視線誘導」
表デザインの目的は、“情報をきれいに並べる”ことではなく、“伝わる形に整理する”こと。
色やサイズ、記号などの工夫はすべて、視線をコントロールするための手段です。
見る人が迷わず理解できる表は、それだけで説得力が上がります。
デザインの華やかさよりも、「読み手がどこを見ればいいか」が明確であること。これが“伝わる表デザイン”のヒントです。