複雑な情報を整理したいときや、複数の要素を比較・分類したいときに便利なのが「マトリクス図」です。
縦軸と横軸の2つの基準を設定して、要素を配置することで、パッと見て全体の関係性や優先度を把握できるのが特徴。
プレゼン資料や企画書でも使われることが多く、デザイン的にも「わかりやすい」「納得感がある」図解表現の一つです。
この記事では、代表的な8つのマトリクス図と、その使いどころをわかりやすく紹介します。
1. SWOT分析(戦略の現状把握)

まず最も有名なのが「SWOT分析」です。
自社や自分を取り巻く状況を 強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats) の4つに分けて整理します。
- 強み×機会 … 攻めの戦略
- 強み×脅威 … リスク回避策
- 弱み×機会 … 改善によるチャンス獲得
- 弱み×脅威 … 最も注意すべきリスク
マーケティング戦略や新規事業の立案、自己分析など幅広く使える万能型マトリクスです。
2. アイゼンハワーマトリクス(タスク優先度)

タスク管理の名作フレームワークが「アイゼンハワーマトリクス」です。タスクを 重要度×緊急度 の2軸で分類します。
- 重要×緊急 … 今すぐ取り組むべき
- 重要×非緊急 … 計画的に進めるべき
- 緊急×非重要 … 他人に任せるか効率化
- 非重要×非緊急 … 捨てることも検討
「やるべきこと」と「やらなくていいこと」が明確になり、時間管理がぐっと楽になります。
3. アンゾフの成長マトリクス(企業成長戦略)

企業の成長戦略を考えるときに役立つのが「アンゾフの成長マトリクス」。市場の新しさ×製品の新しさ で分析します。
- 既存市場×既存製品 → 市場浸透戦略
- 既存市場×新製品 → 製品開発戦略
- 新市場×既存製品 → 市場開拓戦略
- 新市場×新製品 → 多角化戦略
新規事業を考えるときや、既存ビジネスの成長の方向性を検討するのに便利です。
4. プロダクトのポジショニング(競合比較)

競合分析に使われるのが「ポジショニングマップ」。縦軸・横軸を 価格×機能 などの基準にして、自社商品と競合商品をマッピングします。
「高価格・高機能」「低価格・シンプル」など市場での立ち位置が一目でわかり、ブランディングやマーケティング戦略に直結します。
5. 顧客タイプ分類(顧客セグメント)

顧客の購買行動を整理するのが「顧客タイプ分類マトリクス」。購入額×購入頻度 の2軸で分類することで、以下のように整理できます。
- 高額×高頻度 → VIP顧客
- 高額×低頻度 → 一発型顧客
- 低額×高頻度 → リピーター
- 低額×低頻度 → 潜在顧客
顧客に合わせたマーケティング施策や、ロイヤル顧客の特定に役立ちます。
6. ユーザー分析(ターゲット層把握)

ターゲットユーザーの理解を深めるときに使えるのが「ユーザー分析マトリクス」。
関心度×知識量 の2軸で整理します。
- 高関心×高知識 → エキスパート層
- 高関心×低知識 → 学習意欲のある初心者
- 低関心×高知識 → 潜在アドバイザー層
- 低関心×低知識 → 興味を引く工夫が必要
顧客に合わせたコンテンツ戦略や商品訴求の方針を立てやすくなります。
7. スキル棚卸し(強みの可視化)

自己分析やキャリアデザインで使えるのが「スキル棚卸しマトリクス」。得意度×好き度 の2軸でスキルを配置します。
- 得意×好き → コアスキル(最強領域)
- 得意×嫌い → 頑張れるが消耗する領域
- 苦手×好き → 伸びしろ大
- 苦手×嫌い → 手放す候補
就職活動やキャリアチェンジを考えるときにとても役立つ整理方法です。
8. メンバー特性(役割配置)

チームマネジメントに有効なのが「メンバー特性マトリクス」。主体性×協調性 の2軸でメンバーを整理します。
- 主体性×協調性 → リーダータイプ
- 主体性×非協調性 → 個人プレイヤー
- 非主体性×協調性 → サポーター
- 非主体性×非協調性 → 要フォロー
プロジェクトにおける適材適所の配置が明確になり、チームのパフォーマンス最大化につながります。
マトリクス図を使うメリットまとめ
ここまで8つの代表的なマトリクス図を紹介しました。まとめると、マトリクス図のメリットは以下の通りです。
- 複数の要素を整理できる
- 全体像を直感的に把握できる
- 意思決定の判断材料になる
- プレゼンや共有の場で説得力が増す
「ただの表やリスト」で説明するより、マトリクスにするだけで見やすさと納得感がアップします。
まとめ
マトリクス図は「複数の要素を2軸で整理する」ためのシンプルなフレームワーク。SWOT分析からタスク管理、顧客分類、チームマネジメントまで幅広い分野で活用できます。
ビジネスやデザインの現場で「情報を整理したい」と思ったら、まずはマトリクス図を思い出してみてください。図解として表現することで、頭の中がすっきり整理され、相手にも伝わりやすくなります。