デザインにおいて「色」は、ただ塗るだけの装飾ではありません。情報を整理したり、注目を集めたり、意味づけをしたり…伝わり方そのものを大きく左右する重要な要素です。
中でも、今回の図解のテーマである「色の面積効果」は、知っておくだけでグッと伝わりやすさが上がる超・実践的な考え方です。
同じ色でも“使う面積”が変わると、見え方や印象がまったく変わってしまいます。
この記事では、図解とあわせて色の面積効果を分かりやすく解説し、実際のデザイン作業でどう使えるのかを丁寧にまとめていきます。
色の面積効果とは?

色の面積効果とは「同じ色でも、面積によって印象や見え方が変わる」現象のことです。
たとえば、小さな丸で見る緑と、画面いっぱいに広がった緑では、同じ色でもまったく違って見えます。
- 小さな面積の色 → 控えめ、ワンポイント、落ち着いた印象
- 大きな面積の色 → 明るい、鮮やか、強い印象、主役感
色そのものを変えていないのに「明度も彩度も上がったような錯覚」を生むこともあり、デザインの印象づくりに大きな影響を与えます。
これは知っているだけで、デザインの見え方をコントロールできるようになる大きな武器になります。
① 背景色は“強すぎると”読みにくい

背景に真っ黒や高彩度の色を敷いてしまうと、どうしても文字が読みにくくなります。
特に問題になるのが以下のポイント。
- 背景の色面積は圧倒的に大きい
- 紙面の基調色(ほぼすべての視覚情報)として扱われる
- その色の印象が強く残り、文字が負けやすい
背景に強い色を使うと、視線が散ってチカチカしたり、読む気が削がれたりと、情報を届けたいのに逆効果になりやすいんですよね。
■ 対処法:背景の明度や彩度を少し落とす
背景をほんの少しグレーに寄せるだけで、読みやすさが大きく改善されます。
- 真っ黒 → ダークグレー
- 鮮やかな緑 → 明度を下げたくすみ系の緑
- ビビッドな青 → 少し彩度を抑えた青
背景の存在感が穏やかになるだけで、文字のコントラストが適切になり、一気に読みやすくなります。
背景は“主役ではない”という意識を持つと、適切な色選びがしやすくなります。
② 文字は「小さな色面積」なので単体では目立ちにくい

文字の色は面積がとても小さいため、単色で色を変えても意外と目立ちません。
緑で「ここが大事!」と書いても、それだけでは視線の誘導力が弱いんですよね。
- 色がついていても、線の細い情報は埋もれやすい
- 情報密度が高いと、文字の色だけでは注目を奪えない
- 文字だけの“色の強調”は限界がある
■ 対処法:背景ごと色をつけて“塊”として強調
背景に色を敷いてしまうと、一気に「情報のブロック」として認識されます。
- 文字 × 背景色 = まとまりとして視線を引きつける
- コントラストが増え、情報の重要度が直感的に伝わる
- ページ全体にメリハリが生まれる
これは資料デザインでも超よく使うテクニックで、強調したい要素を背景としてまとめてしまうだけで「これが重要です」というメッセージが自然と伝わるようになります。
③ イラストやアイコンでも「少しの色」で印象は激変する

図解の最後の例のように、人物イラストに混ぜる色の量を変えるだけで、印象は大きく変わります。
- ワンポイントの差し色 → 落ち着いた印象
- 顔や服にしっかり色 → 明るくポップで元気
- 全体の半分以上を色で埋める → “ブランドカラー感”が強くなる
色の面積が増えると「キャラの個性」そのものが変わることもあるので、イラストを扱うときにも面積の意識はとても大事です。
特にブランドデザインや資料デザインでは「差し色の量」「線の太さ」「塗りの面積」。ここの調整だけで、雰囲気をしっかりコントロールできるようになります。
まとめ

今回は「覚えておきたい色の面積効果」というテーマで、デザインにおける色の見え方と伝わり方を深掘りしました。
- 同じ色でも面積で印象が変わる
- 背景色の強さは読みやすさに直結
- 強調は“文字単体”より“まとまりで”
- イラストも色の量で印象がガラッと変わる
色の扱い方は、ちょっとした意識の差でデザインの完成度が見違えます。「色の面積」ぜひ次の制作から意識してみてください。

