ビジネス資料やプレゼンでよく使う棒グラフ。
データを整理するには便利ですが、「なんだか味気ない」「見ても印象に残らない」と感じたことはありませんか?
実は、グラフにイラストを取り入れるだけで、見え方も伝わり方も大きく変わります。
イラストを使うことで——
- ひと目で何のデータかわかる
- 親しみやすく、見てもらいやすい
- 記憶に残る“伝わるグラフ”になる
つまり「正確に伝える」だけじゃなく、「見たくなる工夫」も立派なデザインの力なんです。
今回はそんな“見たくなる棒グラフ”を作るためのアイデアを、図解デザイナーの視点から解説していきます。
棒グラフが退屈に見える理由
棒グラフは情報を整理するにはとても優秀ですが、構造上どうしても“無機質”になりやすいのが難点です。
数字の羅列や同じ形の棒ばかりだと、見る人が「何を感じればいいのか」がわかりづらく、印象に残りません。
たとえば次のような課題があります。
- 棒の形がすべて同じで変化がない
- 数値を読まないと意味がわからない
- グラフから感情やストーリーが伝わらない
デザインの目的は「正しく伝える」ことですが、その前に「見てもらう」ことが欠かせません。
どれだけ正確なデータでも、見てもらえなければ意味がない。だからこそ“見たくなる仕掛け”が大切なんです。
イラストを使うと、グラフが“物語”になる
イラストを組み合わせたグラフは、単なる数値ではなく「状況」や「感情」まで伝えられます。今回の図解では、6つの棒グラフ例でその効果を見せています。
1. ランドマークの高さを建物の形で見せる

エッフェル塔、東京タワー、スカイツリーをそのまま棒の代わりに使用。
数字を読まずとも高さの違いがひと目で伝わります。実際の形を使うことで、データが“現実感”を持って頭に入ります。
2. 地域別りんご収穫量をりんごで表現

棒の代わりにりんごを積み上げると、収穫量というテーマが直感的に理解できます。
モチーフとデータの意味が一致しているからこそ、見る人が迷いません。
3. 温度の変化を温度計アイコンで可視化

季節ごとの温度を温度計風のデザインにすることで、「温度」が伝わります。
赤から青への色変化も、温度の印象を視覚的にサポートします。
4. 満足度調査を表情で表す

「とても満足」や「不満」など、感情に関するデータは顔の表情で見せるとわかりやすい。
絵文字のようなアイコンを使うことで、アンケートの結果に温度感が生まれます。
5. ラーメンのカロリーを麺の長さで比較

麺を棒に見立てることで、グラフが一気にユーモラスに。
味噌・豚骨・醤油というテーマとも相性がよく、数字を見なくても“味の濃さ”を想像できます。
6. 回転寿司の皿数を積み重ねで見せる

「大人男性16皿」「子ども6皿」といったデータも、皿を積み重ねるだけで伝わり方が変わります。
単なる棒ではなく、リアルな“食後の光景”が目に浮かびます。
イラストグラフを作る3つのポイント
① データとモチーフをリンクさせる
イラストは「データの意味を補足するため」にあります。
内容と無関係なイラストを使うと逆に混乱を招くので、できるだけテーマに沿ったモチーフを選びましょう。
たとえば食べ物の比較なら食材、金額ならコイン、季節なら天気や植物など、直感で理解できる題材がおすすめです。
② トーンを統一する
複数のイラストを使うときは、線の太さや影の有無、色味を統一することで全体が整います。
統一感があると資料としての完成度が上がり、プロっぽい印象になります。
③ グラフの見やすさを優先する
イラストに頼りすぎると、肝心のデータが見づらくなることも。
グラフとしての正確さを損なわないよう、軸や目盛りはシンプルに保ちましょう。イラストは主役ではなく、“伝わりやすくするための脇役”です。
まとめ:正確さ+親しみやすさで“伝わるグラフ”に
イラストを取り入れた棒グラフは「正確に伝える」だけでなく「見たくなる」デザインに変わります。
ポイントは3つ
- データ内容に合ったモチーフを使う
- テイストを統一して整える
- 見やすさを最優先にする
この3つを意識するだけで、グラフは一気に“伝わるデザイン”になります。
グラフは数字を見せるためのものではなく、“意味を伝えるための道具”。だからこそ、少しの遊び心や視覚的な工夫で、見る人の記憶に残る表現にしていきましょう。